久々の書評です。
一昨年から生活環境が大きく変わってしまい、本を読む時間が作れず、久しぶりの活字でした。
だいぶ今の生活にも慣れてきたのと、プライベートを資格試験の勉強に充てていたんですが、それもおちついたので家での時間を好きな事に費やしてます。
今回紹介する書籍は、Amazonランキング1位になっていたのと、著者の元山文菜さんには昨年お会いしたこともあり、この本を読んでみることにしました。
毎回の注意書きですが、このブログは書籍の要約などの内容に関する詳しい説明はしていません。他者の書いた本の内容を、私のブログで細かく記載するのは、私の中では厳重なマナー違反と思っているので、あくまで私の読書感想文です。
もし、この本に興味がある方がここを訪れたのであれば、本書を購入して読むことをお勧めします。
それでは、本題へ
元山文菜 著「無くせる会社のムダ作業 100個まとめてみた」

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この本は、一般的に言われる5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)について会社内の業務にフォーカスして書かれています。
特定の業種や仕事内容に限定されないように、一般的な業務に広く応用できるような例を挙げて、時間や手間などのコストのかかるムダ作業を改善する手法を解説しています。
参考にするには、読み手側の環境に合わせてモディファイする応用力が少なからず求められますが、きっかけを得るには良い内容だと思います。
本書の良かった内容
基本的な構成は、よくある業務改善の指南書と変わりません。
この本の特徴として、まず思いつくのがデジタルツールの紹介が比較的多いように感じました。
割とこの辺は、今時な感じがしますが、それでも業務の具体例を提示しながらITツールの導入による簡略化を紹介していたりと、大げさなDX化まではできないけど、今ある細かな作業の手間を削減したいと思っている人には参考になるのではないでしょうか?
その他には、旧態依然とした承認印のスタンプラリーなどの大抵の人が嫌がる地味な作業もムダと切り捨てており、若い世代などには刺さる部分もあるだろうなって思いながら読んでました。
私も若手の時代は、いつもこのスタンプラリーが嫌いで嫌いでしょうがなかったのですが、このスタンプラリーの負荷を軽くできる案などは、さまざまな企業で参考にしても良いのではないかと思ってしまいました。
普段何気なくしている作業を、無意識で行うのではなく、意図して意識する事でムダな仕事を炙り出し、代替することを示唆している本だなぁというのが、私の感想です。
本書のイマイチだなと思った点
この手の本は、基本的にどれを読んでも"こうすれば手間が減る“とか、”ああすれば作業が簡単になる“といった「作業を変える」事を推奨するばかりです。
読み手によっては、「んな事分かっとるわい」って感じる部分も結構あります。
分かっていても変える事ができないため、いつまでたってもムダ作業を続けざるを得ない環境で仕事をしている人も世の中には結構な数いると思っています。
こういった変えたくても変えられない環境に対するアドバイスや提案がありません。
ここからは私の考えですが、仕事に関して何かを変えるというのは、結構な労力が必要になります。
私もこれまで少なからず業務改善を行ってきましたが、何か提案すると必ずといって良いほど抵抗勢力が発生します。
不思議ではないですが、反対する人たちの言い分もだいたい似ていて、立場によって大別すると下の3パターンと思います。
- 今まで繰り返してきたやり方を変えて、新しい手順を覚えたくない。
- ITツールの導入では、IT化する効果やメリットを根本的に理解していない。
- 仕事のやり方を変更して不具合が生じた際に、他部署から原因と言われたくない。
1と2は年配の社員がよく口にします。現状維持バイアスが強く働くのと、プライベートでもあまりPCやスマホなどを使わないので、ITツールの便利さを、そもそも理解していないために出てくる意見です。
この手の年寄りは、頭も凝り固まっているので、変えた後も順応しようとせず、いつまでもブツブツ文句言う人が多い印象です。
まぁ、定年まで残り少ない時間で、何十年とやってきた仕事のやり方を変えられるのがイヤだって気持ちも分らんでもないですが。
3は直属の上司が口にするケースが何度かありました。色んな組織で。
やり方を変える場合、特に廃止や簡略化などを提案した際にこの理由で抵抗されることが多かったです。
資料をメールで送れば済むような事でも人を集めて説明会を開いたり、関連承認という名の無関係な部署の管理職への押印回覧など、どう考えてもイランだろってのを止めようと言うと反対されました。
まだまだ思い返せば、枚挙に暇がないですが、会社や組織が変わっても聞かされてきた抵抗理由は、この3つが多かったように思います。
この3つは、合理的な思考から出たものではないため、どんなに丁寧に説明しても解決できません。あくまで関わる人の感情の問題なので画一的な解決方法はありません。
役職や年齢、性別に関わらず、柔軟な思考で常に変化する環境に順応しようとするような人の方が、遥かに少ないので仕方がないことです。
ですが、いつか、この手の変化を嫌う人間の最良な対処方法を解説している書籍に出会いたいと思っていて、元山氏が、今後も業務改善コンサルタントを続けていく中で、最善手を見つけることができれば、また本にして出版して欲しいと思います。
まとめ
本書はAmazonnで1位のビジネス書だった事と、本書の著者とお会いする機会があったので読んでみました。
内容に関しては、これまでたくさん出版されてきた業務改善の指南書と、明確な差があるわけではないため、既に何冊か業務改善の書籍を読んだことのある人にとっては、新鮮さはないかもしれません。
少なくとも私の感想は、割と月並みな内容だったかなといった感じです。
それでも、読みやすくまとめられており、各章のページ数も適正なボリュームなので、20代や30代前半の人で、所属する会社で5S活動などを担当することになった若手の読む一冊目には良書だと思います。
仕事の手間を少なくしてパフォーマンスを上げるのは、今後の社会人には必須の思考と思います。今、業務改善に携わっていない方や、自営業など組織に属さず仕事をしている人にも何かしらの気づきのきっかけになるかもしれませんので、オススメです。
余談ですが、著者の元山氏はとてもキレイな方で、印象の良い方でした。
じゃ、そんな感じでノシ