今年も新入社員が入ってくる季節になりました。
私の勤め先は、所謂中小企業なので大人数ではないですが、それでも毎年コンスタントに新入社員を採用しているので、今年も新入社員が入って来ています。
私の会社では、だいたい入社後は座学を一週間程度行い、その後現場研修になるため、今の時期はカルガモの親子の行進のように、工場内を引率社員の後ろを新人たちがゾロゾロとついて周っています。
4月の今の季節は、ネットニュースを見ると新入社員向けであろう、会社での立ち回り方や、ビジネスマナー、面倒な年配社員との接し方など多岐にわたる記事を見かけます。
ここ数年は、それとは逆の視点で、昨今の新入社員の傾向を解説するベテラン社員向けの記事も同じぐらい目にするようになってきた気がします。
それらネットニュースをいくつか読んでみたんですが、全くもって的外れとまでは言わないまでも、いまいちピントがズレてるなと感じるモノもあり、私の実体験も交えて記事にしてみようと思います。
特に気になったのは、最近の新人の傾向に関してで、私の印象では昔も今もそんなに変わらんよってのが、本稿での私の意見です。
それでは、本題へ。
モンスター新人の定義
私の印象では、ここ数年ぐらいですが新入社員の一部の狂った新人の事を“モンスター新人”と形容するようになったと思います。
モンスターペアレントとかの派生語だと思いますが、軽く侮蔑の意味を持った呼び名ですね。
このモンスター新人の定義は、どのサイトでもおおよそ似たような事を書いてあり主に共通する項目としては、以下の項目かと思います。
- 叱られることに免疫がなく、軽く注意しただけで不機嫌になったり、無断欠勤をする
- 注意や指摘などネガな声掛けをするとパワハラ・セクハラと騒ぐ
- トイレで長時間サボる、無断で遅刻や早退、欠席をする
- 親が欠勤の連絡を入れてきたり、悪い場合、親が仕事内容や環境にクレームを入れてくる
- SNSで会社に関する愚痴どころか、機密情報を平気で公開する
- 入社から1年と持たずに会社を辞める
他にもサイトごとに特色のある傾向分析が載っていましたが、概ね私の見たサイトたちの共通の特徴は、こんな感じだと思います。
次点として、「会社の電話にでたがらない」や「ため息やあくびばかりで、見るからにやる気がない」なんかもあり、この辺は私も目の当たりにしたことがあるので、モンスター新人の特徴に入れてもいいかもしれません。
このモンスター新人の特徴を見て、察しの良い方ならピンときてると思いますが、これらの特徴は一言でいうと
子供の頃から甘やかされて育ってきた躾の出来てない、お坊ちゃん・お嬢ちゃん
なんですよね。
私の感覚だと、この表現以外当てはまらない。
実物と絡むと、「お前、今までどんな環境で育って来たんだよ」って思います。
この躾の出来てないガキンチョ新人というのが、最近になって表れ始めたクリーチャーなのかを、私の経験を思い出しながら考察してみたいと思います。
具体的な例を2件上げて考えてみましょう。
私がこれまでに見てきたダメ新人
ケース1:つらい仕事の日は必ず休むマン
1人目のモンスター新人は、定番中の定番のダメ社員のケースです。
私が新卒で勤めていた会社で同期だった人物ですが、コイツがホントに呆れるぐらいのヘタレでした。
どこの会社でもあると思いますが、当時勤めていた会社では、生産工場で何か新設や変更がある場合、関連する部署の各課へ文書を回覧して承認印を貰う仕事がありました。
その文書回覧の仕事は、精神的に結構こたえる仕事で、生産や出荷に影響が出るため納期がきっちり切られており、一日として遅れる事ができません。
にも関わらず、回覧先の各課の人たちは自分の仕事に追われているため文書の確認と、その文書内で依頼している作業を後回しにしてしまい遅々として進めてくれません。
そのため文書の発行者は、回覧先ごとに小まめに訪問しなければならず、目上の人を煽らないといけないという小心者には過酷な業務でした。
私も何度も、この文書回覧を行いましたが、毎回気持ちが沈んでいました。
依頼先の人によっては、かなりの剣幕で怒ってくる人もいたし、露骨に怒気を見せないにしても、だいたいの人が「このクソ忙しい時に、こんなモン持ってくるなよ」って態度で応対してくるんですよね。
何度「こっちもやりたくてやってんじゃねーよ、ゴルァ!」って言いたくなった事か。
言ったことはありませんが。
本章で紹介する問題のヘタレ君は、この仕事をしなければならなくなると毎回必ず納期当日に欠勤します。
会社に来ないという強硬手段で乗り切ろうとします。マジで最悪です。
この仕事は、上述したように納期は絶対のため、担当者が休むと別の人に振り分けられます。
本来、小まめに進捗を確認してやれば、担当者一人で出来ますが、このヘタレ君は小まめに状況を確認する事などしていないので、各課で進み具合がまちまちな状況になっており、突然振られても代理人一人で出来る状態ではありません。
なので、同じ課の若手数人が、回覧先の課を分担して訪問し、頼み込んで文書を回収しなければならなくなります。
このヘタレ君は、たくさんの人に迷惑をかけるタイプのモンスター新人でした。
ちなみにこの文書回覧は、新人仕事という訳では無く、平社員は勤続年数に関わらず、皆、定期的にやらないといけない仕事でした。
このヘタレ君は、文書回覧を担当すると必ず納期日に休むため、いつの頃からか、ヘタレ君が文書回覧をするとなったら周りの人たちは「アイツ、納期日来んな。」「納期日確認して、予定空けとこう。」って会話をするようになりました。
周りを巻き込む罠としか言いようがない行動のため、終いには、そのヘタレ君の名前が「○○モト」なので「○○モトラップ」と命名して名物化していました。
タバコ部屋とか、そのヘタレ君が居ない所で「明日、○○モトラップの日やな」とか「また、○○モトラップに引っ掛かったわ」とか言って笑い話にしてました。
私も食らった事があり、結構腹が立ったので、同期のよしみで「文書回覧するのが一人だとつらいんだったら、周りに顔が利く先輩にフォローしてもらえるよう課長に相談したら?」とアドバイスをしたんですが、「別に回覧がつらいわけじゃない。たまたま体調が悪かったんだ。」と見え見えの嘘をついて強がって返して来たので「ああコイツは、真正のアカン奴やな。」と理解したのを覚えています。
ヘタレの分際で、プライドだけは一人前という救いようのないダメ人間でしたが、コイツと出会ったのは十数年前。
このヘタレ君は、文書回覧以外の業務でも「そんな失敗せんだろ」ってミスをしょっちゅうしていたし、文書回覧以外でも困難な業務が割り振られると、必ずといって良いほど休んで逃げていました。
ケース2:ア〇ペルガーかな?って疑うレベルの社交性ゼロのお姫様
2人目のケースは、コミュ障としか思えない女の子のお話です。
まだモンスター新人という言葉が世に広まってなかった5~6年前に入社して来た子ですが、最近の若手ということで紹介します。
この子の特徴は、異常なほどに対人関係を選り好みする新人です。
この子には愛想という概念が全く無いようで、自分の気に入った人と気に入らない人で、あからさまに態度が変わります。
私は、課は違いますが同じ部署なので、新人の頃に指導などをする機会がありましたが、どうもこの子的に私はNGだったようで、どんな会話をしていても終始無表情で雑談なども一切ありませんでした。
私だけでなく直接の上司や同じ課の同僚連中も皆同じ態度だったらしく、ほとんどの人間が早々にこの子の相手をするのを敬遠するようになっていました。
私は、最初の内は人付き合いが苦手な子なんだろうと思っており、会話しにくい子ですが露骨に敬遠しないように心がけていましたが、他部署などで数人意気投合した人の前での態度の違いを目の当たりにして、あまりにも落差が激しすぎたので、今ではほとんど相手にしなくなりました。
この子の性格として、他人との付き合い方が極端に淡泊だという訳ではなく、親しく付き合う相手を選り好んでいて、且つ、その態度の違いが相手に不快感を与えるレベルなので、私も他の人同様、敬遠するようになった訳です。
この子は、気に入らない人との会話が成立しないため電話での会話がびっくりするぐらい困難です。
この子と電話で会話していていつも困るのは、すぐに黙り込んでしまう事。
どうもこの子は、電話で会話する前に自分の中で会話内容をシミュレートしているようで、その想定と異なる返事や質問がくると黙り込んで何も言わなくなります。
この黙停は、他部署や社外の人にもやっているようで、私も過去に軽く文句を言われた事があります。
完全なコミュ障なので、最近は用事がある場合はメール入れといてと伝えています。
この子と会話するのは、こっちが辟易するので。
この子の父親は、私の会社のグループの別会社で、そこそこの偉いさんのようでコネで入社してきたみたいなんですよね。
ずいぶん箱入りで育てられたんだろうなって印象の子なんで、この子の親は、子供の社交性すらまともに育むこともできない人間なんだなって思っています。
直球で表現すると、この子の父親がどんな上位職に付いていようが人間的にはカスなんだなって思ってしまいました。
また、この子は高専の機械科を卒業して入社してきたんですが、機械関係の知識が全くありません。
性格的にもあまり現場仕事に向いてそうも無いのに、なんで高専に行ってこんな職場希望して来たんたんだろうと不思議に思います。
高専に行くぐらいなら地頭も悪くないんだろうし、普通科の高校に行って工業系ではない学部の大学に進学して進路を探せば良かったんではないかと思ってしまいます。
まぁ、この辺は本人の意思なんで何とも言えませんが。
昔と今のモンスター新人
本記事で紹介した二人の新人は、タイプが違うので単純に比較や特徴の一致を議論することはできませんが、周りに影響を及ぼすダメ人間って事で紹介しました。
なかなか全く同じタイプのダメ人間ってのにも出会いませんし、この2人で良いかなと思って。
他にも大なり小なり変な特徴のあるダメ人間は昔からいるので、ネットニュースで話題になっているモンスター新人というのが、最近だけの傾向って訳ではないと思っています。
むしろ、昔からモンスター新人は一定数存在していて、そのモンスター連中が年を重ねて気難しいモンスター中年社員になっているのではないでしょうか?
私が見てきたモンスター中年社員は、箸にも棒にも掛からないような連中ばかりでしたが、気が向いたら別記事で紹介しようと思ってるので、ここでは割愛してモンスター新人の話に戻ります。
ケース1&2のモンスター新人の現在
モンスター新人でも、今回紹介したような対人関係を良好にできない人たちは、基本的に歳を取るだけで出世はしません。
ケース1のヘタレ君
ケース1のヘタレ君は、面倒な仕事を振ると休んで来なくなるため、自然と上司たちが仕事を選んで割り振るようになり、ヘタレ君には簡単な雑用仕事しか割り当てられなくなりました。
私は、工場側の技術職でしたが、数年に1度程度の頻度で製品開発の部門へ期間限定で移籍させてもらい、次の新製品の開発から生産まで経験させてもらっていました。
この開発部への移籍は、学ぶ事が非常に多く、工場側の仕事に戻ってから自分でも驚くほど成果の質が変わったのを覚えています。
仕事への理解の量も質も、段違いに向上したんですよね。
また、一度開発側へ行った経験があると、他の先輩社員たちからの接し方が変わり、私の話を以前より一層真剣に聞いて、自分たちと同じレベルのエンジニアとして扱ってくれるようになったのも印象的でした。
このレンタル移籍は私だけという訳ではなく、一定の年齢以下の工場側の若手エンジニアを順番に送り込んでいたんですが、このヘタレ君は開発部への移籍は一度もありませんでした。
まぁ、当然ですね。
業務がつらいとすぐに逃げ出してしまうような人間なので、開発部の人達に迷惑をかけるわけにはいかないので、上司も除外していたのでしょう。
結果として、このヘタレ君はいつまでたっても誰からも一人前扱いされず、半人前としか見られていませんでした。
ケース2の箱入りお姫様
ケース2の箱入り娘はというと、現在は、コミュニケーションがまともに取れない子なので誰も仕事を教えようとしません。
まだ2年目や3年目ぐらいの頃は、何かしら新しい仕事をさせようとしていたのですが、分からない事を先輩や上司などに質問したりすることをせず、独断で行動して無茶苦茶な状態にしてみたり、最悪、どうする事もできず放置して、全く進まないなんて事もありました。
それでも、中には仕事の進み具合を心配して「どうなってる?」と声かけする人もいましたが、沢尻エ〇カ並みに淡泊な返事しかせず業務内容に関して相談したりする事をしないため、次第に誰もフォローしようとしなくなり、その結果、できる仕事が増えないまま、現在に至っています。
入社から5、6年経ちますが、いまだに新卒と変わらない程度の仕事しかできず、私の印象では、完全に戦力外です。
このお嬢さんも雑用仕事か、新人時代に唯一教えてもらえた仕事を、今もずっと続けています。
それでも、その仕事すらもやり方があまりに粗末なため、他部署の人間からの評価が低く、現場の人たちからは「なるべく、あの子には生産設備を触らせないでくれ」と言われる事がよくあります。
ケース1のヘタレ君もケース2のお姫様も、3年以上仕事をしているにも関わらず、いつまでたっても、まともな仕事を振られる事がありません。
私のように自発的にぶら下がリーマンになった訳ではなく、周囲から期待されなくなった結果、立派なぶら下がり社員に仕上がっています。
本人たちがどう思っているか正確には分かりませんが、私思うに、たぶんこの手の人たちは自分が役立たずと評価されているとは、全く感じてないんでしょうね。
それは、それで幸せだったりするんだろうか?
私が見てきたモンスター新人たちの行きつく先
おそらく私の職場に限らず、どこの会社でも同じだと思いますが、モンスター新人が成長して戦力になる事はありません。
あったとしても、極めて稀な例です。
色々モンスター新人のタイプはあるようですが、全てのタイプに共通して、必ず周囲の人間が離れて行きます。
そもそも人間性に問題があるので、仕事を振ってもらえなくなる以前に、仕事やその他の必要なことを教えてもらえる機会も減ってしまいます。
どんな仕事であっても、自助努力のみで必要な能力を身に付け成果を上げる事はできないと、私は考えています。
会社勤めなら尚更で、仕事の内容は会社毎に異なり、やり方や必要な成果のみに留まらず、社内で使う言葉なんかでさえ、会社固有の場合が必ずあります。
そういった各会社固有の考え方や言葉なんかを、私は会社毎の風習や方言と呼んでいますが、それら会社固有の風習・方言は、その会社の先輩からしか学べません。
そして、それら風習や方言を身に付けてから業務に臨まないと、その会社内で成果を出し、評価を上げる事が非常に困難になります。
モンスター新人と言われる人達は、周囲から先輩や上司が離れて行き、結果として仕事はもちろん、それ以前の会社ローカルの文化すら身に付けることができず、ただ年数を重ねるだけになってしまいます。
そんな風に、年齢相応な仕事をしていない状態で会社に留まると、周囲からは「あの人はいらない」「いつになったら辞めるんだろう?」と思われるようになり、徐々に居心地の悪い環境になって行きます。
ですが、なんの能力もまともに身に付けていないモンスター新人は、転職する事もままならず、どんどん偏屈になり無能なモンスター中年になってしまいます。
ちなみに、往々にして、私が見てきたモンスター中年は、開き直って会社に居座り続けます。
かなり厄介。
新社会人の皆さんへ、おせっかいな一言
私が読んだネットニュースのモンスター新人の記事では、どれも最近の若手は「出世や昇進よりも、プライベートを重視している」とも書かれていました。
私は、出世や昇進を望まなかったり、プライベートの方を重視するのは構わないと思っています。価値観は人それぞれなので。
それでも、会社という組織に属する以上、仕事の量や質はもちろん、叱責される事も含めて、ある程度は覚悟しておいた方が良いと思います。
“自分は、どこまでなら我慢できるか?”といった線引きを、早いうちに客観的に分析しておき、なるべくその限界を広げる努力と、会社には色んな人がいて、なるべく全ての人と反目することのない関係を築く事を意識した方が良いと思います。
家庭や学校に居た頃のように、自分が主人公で、自分が中心といった振る舞いをしていると、会社では、結構あっさり見限られます。
さらに、一度見限られると、その評価を覆すのはほぼ不可能です。
自分自身のストレスへの許容量は増やしましょうと言うのに、会社側の許容量は小さいよって書くのは矛盾に感じたり、理不尽に思うかもしれませんが、会社という組織は、どこもこんな感じだと思います。
なぜなら、会社で出会う人は、それぞれ皆、別々の目的を持って所属しているだけで、親でも兄弟でもありませんから。
きつい言い方になりますが「あなたの代わりならいくらでもいるから、馴染めないなら辞めてくれ」ってのが会社側の本音です。
これから新社会人になる方々は、この本音を頭の片隅に留めくことをお勧めします。
まとめ
私自身、けっして立派な社会人という訳ではなく、勤め先でも高く評価されている訳ではないので、自分で書いてて耳が痛いなぁって思う記事になってしまいました。
もう一度新卒からやり直せるなら、今度は、もっと社交性や協調性を大事にしようって思う事がたまにあるような人間なので。
本稿では、モンスター新人が最近の特殊な傾向なのかを、経験を踏まえて考えてみるつもりで書き始めましたが、結局モンスターの成れの果てを紹介してみたり、おせっかいな助言とかをドヤ顔で書く起承転結が破綻した記事になってしまいました。
新人の事をとやかく言う前に、私自身が、まず「文章の構成力を磨かないといけない」というのを、本稿の締めくくりにして、終わりにしたいと思います。
出来れば、こんなモンスター新人には会いたくないなぁと思いながら、今年も新人の相手しましょうかね。
じゃ、そんな感じでノシ